エジンバラの不思議な香りの記憶

地元のアラビア料理のお店にようやく行ってみたら、店員さんに

「中東料理がお好きなんですか?」と聞かれ、「はい!」と答えると、

「何かきっかけがあったんですか?」と聞かれ、あれ、何だろう。と思い返してみると、

エジンバラで食べたフムスやファラフェルがきっかけだったことがわかりました。

ウェブサイトの写真はハロウィーンの翌朝のエジンバラの公園です。

エジンバラには交換留学で行きました。渡航前は会う人会う人に「イギリスはご飯がまずい、スコットランドはもっとまずい」

と言われ続けていましたが、落ち込むことなく、期待することもなく、それどころではなくて他の嬉しさでいっぱいでした。

実際に行ってみると、新入生用の村のようなところにある食堂で朝夕のご飯が食べられるのですが、ヴィーガン/ベジタリアンオプションが充実していたことにびっくりしました。

ベジタリアン/ヴィーガンだと毎日同じようなご飯になりますが、私はそれで全く問題が無く、むしろ現地のポリッジを食べることができて大満足だったのと、”ギリシャ風サラダ” なるものとの出会いがあり、毎夕それを食べていました。

エジンバラ大学にはヴィーガン・ソサエティー(サークルのようなもの)があり、その新入生歓迎イベントでドキュメンタリーを観ました。私はアクティヴィズムとしてのヴィーガンはあまり勉強していなかったので、こういう世界があるのか、と驚くと同時に、当時は同世代でヴィーガンやベジタリアンの人が周りに全然いなかったので、学生のヴィーガンの集まりが不思議でした。

彼らが学校の中の食堂やカフェや売店にきちんとヴィーガンオプションがあるように働きかけてきたそうです。

そのソサエティーの幹部のパンクなかっこいい女の子と、その子と一緒にいた髪もメイクも服も緑な女の子と仲良くなりました。

特に緑の子は、宗教学科で「食べ物を通して宗教実践を理解する」という興味深いテーマを探究していて、いつも勉強していた神学部の図書館で遭遇したり、人類学の授業も一緒に履修していました。その子はよく遅刻してきて、こそこそと私の隣の席についていた記憶があります。

神学部校舎。左手がもともと礼拝堂だった図書館。正面の扉の先には特別なホールがあります。

彼女は時々チャリティーで手作りお菓子を総合図書館の前で売っていました。私はそこで初めて、”フラップジャック” なるイギリスのお菓子を味わうことができました。

自炊ができる環境ではなかったので、お昼は学校の近くのお店で食べていたのですが、エジンバラのベジタリアン料理がとっても不思議でおいしくて、たくさんの発見がありました。

一番お気に入りだったお店では、デリをいくつか選んで作るプレートがあり、そこでローストされたニンジンやナスに添えられていたのがフムスでした。さらにピンクペッパーやコリアンダーもかかっていたりして、いろんなハーブ、スパイスの香りとタヒニの香りが混ざって、食べる度に目がピカピカしていました。

そのお店はホビットに出てきそうな落ち着く空間で、2階にはグローサリーストアもあり、無骨なお野菜果物が泥付き剥き出しで量り売りされていたり、羊やヤギ乳のヨーグルトやとれたて卵があったり、有機的で都会的で、初めての居心地の良さを感じていました。

学校の校舎のすぐ近くにあったスウェーデンスタイルのカフェは、スープとパンがおいしくて、帰国してからよく真似して作りました。

キャロットスープにはコリアンダー、という組み合わせをよく見かけました。

もう一つのお気に入りのお店は、エジンバラで一番古い今もある有名なヴィーガンのお店なのですが、巨大なファラフェルのことしか思い出せません。おにぎりサイズのまんまるファラフェルでした。

あともう一つ覚えているのは、チャイを頼んだら、お姉さんが「ナツメグかける?」と聞いてくださり、ナツメグがどんな感じのものか当時知らなかったけれど頷くと、ニヤッとしながらちょっとナツメグをかけてくれて、その時の香りで目がピカピカしてしまいました。

オールドタウンで好きだった古着屋さんの近くで時々開催されていたマーケットでは、できたばかりのローチョコレート屋さんが出店していて、ピスタチオとローズの花びらがそのまま入ったチョコレートが見た目も香りもきれいで優雅でうっとりしながらびっくりしました。

不思議な香りの食べ物、飲み物に興味を持つようになったので、街を歩いていて、濃いめの木材でできたちょっと照明が暖色で暗めの、ハリーポッターの杖屋さんのような雰囲気の中東の食材が売られているハラールショップが気になるようになりました。

初めてみるお菓子やお茶がぎっしりと陳列されているお店の雰囲気は入りにくかったのですが、入ってみると、お店全体が色んな匂いが混ざっていて情報量が多くて、色んな種類のyogi teaやpukkaのハーブティーがあったり、たくさんのスパイスや調味料があり、本当にハリーポッターみたいでした。

一つ一つ匂いを嗅いで、でも料理はできないのでお部屋で飲めそうなハーブティーだけいくつか買ったら、お店のお兄さんが小さい冊子をプレゼントしてくれました。

Yogi Teaのレシピブックでした。Yogi Teaのハーブティーの中身をお料理やお菓子作りに使うレシピで、一つ一つ、アーユルヴェーダの性質や、テーマに合うヨガのアーサナやプラーナヤマが解説されていました。

Yogi Teaのおまけについてくるフリーの冊子なのかなと思ったら、5ポンドする本でした。

私はその後も場所を転々としていたので定期的に本は整理していたのですが、小さくて場所を取らないけど思い出が詰まっているのでこのレシピブックはずっととっておいています。

エジンバラではよく勉強して、よく友達と話し、よく歩きよく探検して、いつもバグパイプの音があって、時々ダンスをして、身体に優しい不思議な香りのものを食べては目がピカピカして、好きな服を着て、とても健康的だったな、と思い出せました。

アラビア料理屋さんのお姉さん、ありがとうございます。

お天気も毎日不思議でした。気が向いたらケルト音楽やダンスのことを書こうと思います。

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