京都で出会ったドラゴンくん

今回の京都旅の目的の一つは、北区の枯山水めぐりでした。

妙心寺の南側から始まり、仁和寺、龍安寺、大徳寺というコースを歩きます。

最終的には、大徳寺からさらに北東の「みたて」というお花屋さん、そして上賀茂神社に行こうと思っていました。

上賀茂神社は、姉が無事第一子を出産したので、春にいただいた安産守りをお返しし、お礼をするためです。

一つ一つの目的地の間隔はそんなにありませんが、一日がかりのコースです。

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最初の妙心寺では退蔵院で素晴らしいお庭を拝見した後、雲龍図という、とても大きな、そして「八方睨み」と呼ばれるどこから見ても目が合う、生きているような龍の天井絵を拝見しました。

どこから見ても目が合って、龍が動いているような感覚を味わうため、上を見上げながらお堂の中をぐるぐるしました。

その同じ空間には、聖徳太子も使ったと言われる日本最古の釣鐘がありました。

その鐘は現在の鐘の音よりも音が高く、黄鐘調、ラの音だそうです。

そのラの音がよい音とされ、「祇園精舎の鐘の声」も黄鐘調。

熱心に説明してくださったガイドのおじさんに、

「また5年後、10年後などにぜひいらしてください。」

と深々とお辞儀をして送っていただいたのも印象的でした。

本物は撮影禁止でしたので、レプリカの写真です。

龍安寺では、有名な石庭の奥にある仏殿が特別公開されていました。

比較的新しい建造物ながら、普段は人が立ち入らないからか、忘れたくないような別格の空気感でした。

そこにも小さな龍の天井絵がありました。

こちらも撮影禁止のため、メディアさまからの拝借です。

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本当は龍安寺と大徳寺のちょうど間くらいに金閣があります。

普段京都に来てもこの辺りは来ることが少ないので、せっかく通るなら行こうと予定していたのですが、

枯山水があるわけではなく、今回のテーマと少し逸れるということもあってなんだか気が向かなくなってしまいました。

みたてさんは来店予約のみのお店で、時刻指定で予約してしまっているので慌てたくないし、

あ、なんだか曇ってきた。金閣を見るなら晴れか雪がいいなあ、とか、色んな理由が浮かんできましたが、

ようは気が向かないのです。いやでもせっかくここまで来たし、通り道なんだから…

と、天秤にかけ始めてしまいました。こうなっては考えてもなかなか決まらないので、入り口に立ってから決めることにしました。

そして鹿園寺金閣の入り口に辿り着くと、修学旅行生や観光客がチラホラ見えました。やめることにしました。

1 秒もかからずに決まったと思います。

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金閣の手前には、立命館大学があります。

その辺りから、車道を挟んで反対側の歩道を一人で歩いている学生らしき青年がいました。

金閣の辺りまでは反対側を歩いていたのと、私は金閣に行くか行かないかで悶々としていたのであまり気にならなかったのですが、

金閣を過ぎたあたりから同じ道を歩き始めました。

時々ある、自然に歩くペースが同じ、向かう方向も同じで、ストーカーみたいな感じになってしまう感じになってしまいました。

たぶん彼はちょっと気をつかって少し速く歩いてくれたりしたのですが、なにやら携帯を見はじめるとスローダウンするので追いついてしまいます。

そこで私がエイと追い越すと、彼は後々また追い越してきます。

それから、信号待ちがあると追いついたり追いつかれたりしてしまいます。

あまりにもしばらく向かう方向が同じかつ歩くペースが似ていて割と近い距離を歩いていたので、

また信号待ちで揃った時に痺れを切らした彼がとても自然に英語で話しかけてきました。

私がほぼ反射的に英語で返すと、彼は自分で話しかけてきたのに、「英語話せるの!?」と、ものすごくビックリしました。

私はてっきり彼も大徳寺に行くのかなと思っていたのですが、話を聞くと一週間前に日本に来たばかりの交換留学生で、これから銀行に行こうとしていたとのこと。

私が「え、銀行?」と拍子抜けしていると、「君が行こうとしているところ、もう一回教えて?」と言われて説明すると、一緒に行きたいと言い始めました。今まで何かとバタバタしていて、まだ全然散策できていなかったそう。

時間があるなら、と一緒に大徳寺に行くことになりました。

一番みたかった龍源院は境内南側から入ってすぐのところにありました。他に誰もいませんでした。

中に入ってすぐのところに、龍の絵が飾られていました。

するとその絵をみながら彼が、「I am dragon」と言い始めました。

私は「???」となっていると、「My name is Dragon」とのこと。

Dragon って名前の人初めて聞いた、と私が言うと、お母さんが日本人で、本当の名前はリュウだけど、イギリスではDragonと呼ばれている 、だからDragon って呼んでね、とのこと。

龍の絵をたくさんみた直後、しかも龍源院という名前の場所でそう言われたので私はとてもビックリしました。

一緒に座って石庭を見ながらおしゃべりしていたら、雨が降ってきました。

大徳寺を出る頃には、雷も鳴りはじめました。天気が悪いイギリスからやってきた彼は雨がとても嬉しそうです。

銀行に行くと言っていたので龍源院でバイバイかなと思っていたのですが、その後の私の旅もお供して探検したいとキラキラしていたので一緒に北へ向かうことになりました。

私が行きたかった日本で一番古いお菓子屋さん一和さんに着いてあぶり餅を食べていると雨足が強くなってきたのですが、ますます嬉しそうなドラゴンくん。

この人はもしかして本当に龍なのかなと思いはじめました。(龍は雨を降らすと言われているそうです)

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無事アポイントメントの時間に余裕を持って「みたて」さんを訪れ、私はビビッときた一輪挿しをいただきました。

晩御飯を一緒に食べようよ、と言ってくれたのですが、なんとなくそろそろ一人になりたくなってしまったので北大路駅まで歩いてバイバイすることにしました。

雨ということもあり、夕方になってしまったこともあり、上賀茂神社はまた今度にすることにしました。

雨の誰もいない賀茂川を歩いていると、彼は雨の中を歩いていると自由を感じる、と言い始めました。

それは雨や曇り、雪の天気が好きな私にも無かった感覚なので、「雨は好きだけど、自由を感じる、というのはよくわからない」と言うと、「エ〜、ソノウチワカル!」と言われました。

一年間日本にいるそうです。勉強もそこそこに、楽しく充実した日々を過ごせますように。

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